どこにでもある情報じゃなく、自分の中にある知識を形にしていくのがインターネットの面白いところ。
ただし、ネット時代以前の情報はWEB上にも極端に少ない。だからこそ、後追いじゃなくリアルタイムに見たり聴いたりしていた情報を残していきたい。
というわけで、VOGUE特集。
90年代中期に活動していたVOGUE(ヴォーグ)というバンド。
インディーズ時代に話題を振りまき、その後、バンド名をnuvɔ:gu(ニューヴォーグ)に変えてメジャーデビューするもアルバム1枚(+ベスト1枚)を残して解散したのは、事務所とのゴタゴタが原因であった。もしデビュー後の活動が順調であれば、黒夢・ラルク・グレイの辺り以降のシーンは何かしら変化があったのでは?と思えるバンドである。
ちなみに…
デビューのタイミングでのバンド名変更ってあまり例がないのだが、これは単純に雑誌「VOGUE」の特許の関係だそうだ。
VOGUE(nuvɔ:gu)を知っている人も今となっては多くはないと思うが、元・マジェスティックイザベルのCHIKAが結成したバンドということで当時は話題だった。マジェスティックイザベルというとエクスタシー・フリーウィルという二大巨頭がバックにいたバンドとして有名で「EXとFW共同で」という話もあったようだが結局、解散してしまった。
(BASSのHEATHは、後にX JAPANに加入することでも知られている)
ヴォーグの面白かったところ。
いわゆる「バンド界隈」で活動するグループにも関わらず、カッチリしたタイトなリズムにバンド音と打ち込みを融合したサウンドで、音的にもかなり異色なイメージだった。当時のライヴでジュリアナ扇子のお姉さんが踊っていたというのも頷ける(私は、円盤屋の通販でVOGUE扇子を買ったことがある)。「和製デッドオアアライブ」と言われていたのも納得。
1993年〜1994年はフリーウィルが前面にヴォーグをプッシュしていた印象が強い。
VOGUE主催のイベント「Behind The Mask」を覚えている人がいれば、当時の錚々たるバンドが参加していたのもご存知のはず。これだけのバンドを集められるChikaは凄いなと当時思っていたけど、結局はバックのフリーウィル・D.TOMMYによるもののはず。
今は亡きメタル・インディーズ専門店「サードステージ」のプレゼントで、豪華参加バンドが参加したメッセージビデオを貰ったのも記憶にある。あの映像はかなりレアなはずだが、見たことある人いるだろうか?
そして「インディーズでは作品をリリースしない」というポリシー。
当時の雑誌インタビューではっきり言っていた。従来のバンドの活動形態・パターンを覆すものであり面白かったけど、そうなるとFree-Willはどうやって宣伝費を回収しようとしたのだろうか?
なのでインディーズ時代の音源を聴ける機会は限定されるのだが、ここではデビュー前に聴けたヴォーグの音源、全6曲を紹介する。
ほとんどの人が最初に耳にしたのは、Free-Willのオムニバスアルバム「Free-Will Anniversary 1993」に収録された「MATERIAL」だろう。
(以前は貼り付けてあったが、削除されて現在はネットで見当たらず)
前述した「打ち込みサウンドのイメージ」というのは、要するにこのトラックのことだ。
VOGUEはあくまで一般的なバンド形態であるというのはこれ以降にわかるのだが、最初にこの音源を聴いた人の印象はやっぱりこのサウンドである。
ちなみにこのアルバムでは私は、VOGUEと、SPEED-iDとCOLOR(ハウスに路線変更した時)を頻繁に聴いていた。
そして次に聴いたトラックは、ライヴでの配布CDシングル音源。
ネットにいくつか情報があるようだが、正確には1994年の東名阪ツアーにおいて、3箇所でそれぞれ異なる内容のCDシングルを来場特典としてプレゼントしたというもの。用意された3曲「AFTER」「Androgynous」「CYBER DEAD CLUB」のうち2曲が収録されたCDが3パターンなので、3種類のうち2枚を揃えれば3曲とも聴けるという形だった。
ツヤ消しの真っ黒な短冊形ジャケットに、箔押しジャケット(箔の色違い)。円盤屋かエジソンだったかで「発掘!」と称して数量限定で販売されていたのを当時購入したので、細かい部分まで記憶している。
打ち込みではないスタンダード且つスタイリッシュな洗練されたバンド形態のサウンドである。
「AFTER」 ※解散後にベスト盤に収録
「Androgynous」 ※解散後にベスト盤に収録
ツインギターのアンサンブルが見事。この曲は結局、他ではリリースされることは無かった。
「CYBER DEAD CLUB」 ※デビューアルバムでリメイクされる
続いて・・・
伝統的なオムニバスシリーズ「EMERGENCY EXPRESS」の1994年版に参加している。
「Crystal Moon」
バラード調の名曲。イントロのギターのアルペジオにかけたディレイがルナシーの「MOON」を想起させ、ムーン繋がりと思った人もいるのでは?
人気のオムニバスシリーズだったので、「VOGUEはこの曲しか聴いたことのない」という人も居るだろう。その場合はまた印象が違うかもしれない。
もう一つインディーズ期の音源。
「MATERIAL」のニューヴァージョン。
記事冒頭で紹介したフリーウィルのオムニバス音源からかなり変わっている、NEWヴァージョン。
これは当時、有線オンエア用音源という触れ込みで、白ジャケ短冊型シングル(金色の箔押し)が、これも非売品扱いで「発掘!」みたいに売られていたものを当時購入した。
「MATERIAL(new version)」
最後のクレジットでわかるようにVOGUE時代でフリーウィル制作。
非売品の配布ビデオとして流通していた。
あとは、非売品のデモテープ(どこかのライブで配布)として「CRYSTAL MOON」「DANCE ROMANESQUE」「FIND LOVE」等があったのは記憶している。ダンスロマネスクはデビュー盤でリメイクされたものとは当然別テイクで、当時はこれでしか聴けなかったので何とかして手に入れたのだが、YouTubeでは発見できず。
以上、ニューヴォーグとしてデビュー前に、VOGUEとしてインディーズ時代に残した音源6曲を紹介した。VOGUE時代の曲調はもちろん、紹介したような活動展開が面白くて個人的には気にしていたが、ニューボーグとしてデビューする頃には興味が他に行っていたので、その後の事務所トラブルから活動停止についても後で知った。
今やフリーウィルは、傘下のレーベルでマネジメントを行い、流通はメジャールートでリリースをする形で力を持っているが、これはディル・アン・グレイの成功によるところが大きい。vogueは事務所トラブルで活動できなくなってしまったが、この頃からフリーウィルがマネジメントでメジャー流通契約ができる力があれば、もしかしたら景色が変わっていたのかもしれない。
コメントを残す