幻覚アレルギー「コレクターズ1992デモ」幻覚始動時のザラついた雰囲気が詰まった音源

私も非常に思い入れのあるバンド・幻覚アレルギーに関しては、当ブログでも以前「SCEANA活動再開記念」としてブログ記事にした。

今回は、2021年に突如リリースされた「コレクターズ1992デモ」という作品について。

FuckoffRecord通販で入手

独自ルートの通信販売にて販売のみ。私は正直、情報をマメに追っていたわけではないので入手が遅くなってしまったが、手に入れることができた。

盤には「Fuck Off!!!」とだけ印刷されている。

iTunesで読み込みを行ったところ、きちんとトラック情報が反映された。

「コレクターズ1992デモ」内容

トラックリスト画像の通り、ミニアルバム「Mouth to Mouth」とほぼ同じ収録曲となっている。

1991年9月にかまいたちを解散し、その後すぐSCEANAとKAZZYにより幻覚アレルギー結成。
1992年4月にフリーウィルから「Mouth to Mouth」をリリースするにあたり、このアルバムの準備ためにレコーディングしたデモテープ音源なので当然「Mouth To Mouth」よりも前に録音されたもの。

そもそも公に出す前提ではなく、あくまでデモ的に録ったものだが、バンドとしての音を固めている段階での貴重な資料として必聴であることは間違いない。

「Mouth To Mouth」自体が今は入手困難となっているが、改めて今聞いても名盤である。

<収録曲>
・SPEEDアレルギー
・QUICK & DEAD
・CHAMELEON BLUES POP
・MORE DEEP
・MERRY-GO-ROUND
・チョコレート中毒

となっているので、楽曲的にはここから「QUICK & DEAD」を引いて「FUCK OFF」「DEBUT」を加えたのが「コレクターズ1992デモ」となる。

ということで、「Mouth To Mouth」と比較する形で「コレクターズ1992デモ」を1曲ずつ解説。

SPEEDアレルギー

代表曲であり、バンドのテーマ曲のような位置付け。
「Mouth to Mouth」の1曲目で、その後ビクターからのデビュー盤にも再度レコーディングされた。
アレンジ面もほぼ固まっていたと思われ、Mouth To Mouthではこのデモアレンジで忠実に録音し直したのだと思われる。

チョコレート中毒

こちらも代表曲のひとつ。
ライブにおいてはラストやアンコールで演奏される。ちなみにビクターからの最後のアルバム「Dノススメ」にも収録されている。

このアレンジから「Mouth To Mouth」録音時にギターのアレンジを追加したようだ。

FUCK OFF

わずか13秒の曲。
「Mouth To Mouth」では次曲とのつなぎ的に入っていた意味深な歌詞の曲だが、本作ではトラックを分けて1曲扱いとして収録。ちなみにビクターの「JAPANESE TRASH」にも同タイトルで収録された。
口笛がかすかに聞こえる。

CHAMELEON BLUES POP

1曲の中で曲の展開が目まぐるしく変わるのが印象的な楽曲。
初期の中でも個人的にはよく聴いた、思い入れのある曲である。
この段階ではギターがオーソドックスなパターンだが、「Mouth To Mouth」の際にAメロと楽曲後半のギターアレンジをいじったようだ。

MORE DEEP

イントロのアルペジオから、ギターの音色が全く異なる。「Mouth To Mouth」でよりメリハリをつけた印象。

サビのヴォーカルの譜割りが「Mouth To Mouth」と異なるので違和感があるが、レコーディングしながら変えていったのだろう。細かく全部は聞き取れないが、歌詞も若干異なるようだ。

MERRY GO ROUND

本作で一番、「Mouth To Mouth」とアレンジが違って興味深いのがこの曲。イントロがドラムから入り、ギターリフも全く異なる。そしてAメロでベースだけになる妖しげなアレンジも、このデモの段階ではストレートなスタイル。

そして、途中で急に楽曲が途切れて「プラトニック・ロマンス」が流れる箇所。
ここがこのデモ段階では「QUICK & DEAD」になっている。もちろんこれも「Mouth To Mouth」収録とは異なるデモ音源であることは聴けばわかる。

「QUICK & DEAD」のデモ音源は無いものと思っていたらこんな形で存在したとは!
そして同時に、「プラトニック・ロマンス」と「QUICK&DEAD」のコード進行が同じであることに気づいた(笑)

DEBUT

おそらくこの「コレクターズ1992デモ」の目玉である未発表曲。「Mouth To Mouth」にも、そしてその後も結局、音源としてリリースされることはなかった。

ただし、ファンの方ならご存知の通り、インディーズ時代にロッキンfリリースのビデオマガジンシリーズ「ZETA」の幻覚アレルギー特集で、この曲が聴くことができた。その映像があったので貼っておく。

この音源と同じものだ。
さらに追記しておくと、同時期にロッキンfからリリースされたCDBOOK「NOISEアレルギーxxx」に、このDEBUTの歌詞が掲載されていた。(ちなみに前述の「プラトニック・ロマンス」の歌詞もここに掲載されていた)

再発してほしい音源

当時聴きまくった思い入れたっぷりの作品の、デモ段階の音源というのは非常に魅力的であり、ここ数日間こればかり聴いている。作品として発表する音質かと言われると微妙ではあるが、マニア向けの資料として日の目を浴びたことがとにかくありがたいと思う。

その上での今後の希望として。
「プラトニック・ロマンス」はリリースして欲しい。
「Mouth To Mouth」の「MERRY GO ROUND」に挟んでいる音源自体はフリーウィルのものだろうから無理だろうけど、デモ音源があれば期待したい。

また、前述の「NOISEアレルギーXXX」のCDに収録された3曲「COSMETIQUE RENAISSANCE」「NOISE現象」「ORGEL」もここでしか聴けなかった音源なので、何らかの形で再発が待たれる。

この辺りの楽曲は1992年〜1993年のものなので、同様にデモ音源など存在するのかもしれない。個人的には出してくれれば全部買うつもりだし、同じ考えの人もたくさんいるはず。

SCEANAさんにこの文章が届くなら、ぜひお願いします。

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