2015年の「かまいたち」一日復活の際に書いた記事に、2019年12月25日にTwitterで発表された「幻覚」始動の報を受けて文章追加。
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「幻覚」始動。 pic.twitter.com/AiMF8WzdAB
— 幻覚 (@genkakuoffical) December 25, 2019
その一報を見てから、頭の中でこの曲がずっと流れている。
幻覚アレルギー「ANGEL DUST」
もう疲れたからここでお別れだよ
一夜にして忘れられるよ
だけど頭の中がメチャクチャになっちゃうよ
そして頭の中がメチャクチャになりそうだよ私がアナタのその金属のカプセル
みたいなモノになれればいい
タイトルも歌詞もそのものズバリだが、この曲がまさに脳内をトロけるようにぐるぐる回っている。
ロックンロールからパンク、ハードコア、ノイズ、インダストリアル、そしてポップ。あらゆるジャンルを取り込んでノイジーに吐き出していたユニット「幻覚アレルギー」のデビュー曲といえる楽曲。
(アルバムでのデビューだったが、その初回盤BOXに同梱されていたのがこの曲のPVであったため)。
とりあえず、ヴォーカルとギターによる2人組ユニットといえば、B’zでもコンプレックスでもなく幻覚アレルギーであるとアピールしたい。
中学高校の多感な時期に衝撃を受けてよく聴いていたが、あまりインターネット上にもまとまった記事がないのでここに記録しておく。
Contents
幻覚アレルギー「Mouth To Mouth」
1991年に解散したバンド「かまいたち」。そのヴォーカルのSCEANAとギターのKAZZYにより結成。
1992年春、フリーウィルよりミニアルバム「Mouth to Mouth」リリース。音作りもストレート且つシンプルで、音質も良いとは言えないけどシンプルにカッコいい。オリコンインディーズチャート1位で登場。かまいたち解散から間もないこともあり、かなり注目されていた。
「チョコレート中毒」
ちなみに、この「Mouth To Mouth」レコーディング前の音固めの段階と思われるデモ音源が、SCEANAの手により日の目を見ることになった。その作品についてはこちらへ。
→幻覚アレルギー「コレクターズ1992デモ」幻覚始動時のザラついた雰囲気が詰まった音源
幻覚アレルギー「PSYCHE:DELIC」
インディーでの活動を経て、1994年春にアルバム「PSYCHE:DELIC」でビクターからデビュー。
このアルバムの初回盤は、記事冒頭の「AngerDust」のPV付きで、CDとビデオが収められた通称「幻覚BOX」。
これがダッチワイフが散りばめられたデザインのジャケットだったので、お店で恥ずかしがりながら購入(笑)
ジャケットの雰囲気にも表現されているように、いろんな要素のうち特にハードコアな部分がより全面に強調され、音質も迫力も格段にパワーアップ。名曲多数。1曲に絞るなら冒頭の「ANGEL DUST」だが、その他も紹介したい曲多数。強いて言えばこれ。
「LOVE & KILLS」
幻覚アレルギー「JAPANESE TRASH」
続いてのアルバム「JAPANESE TRASH」。こちらも1stと同年の1994年リリースということで、かなり活動スピードが早い。初期の未発表楽曲も収録されていたりもするが、アルバム全体を通して1stよりさらに過激さを増長させた作品で、歌詞も聞き応え抜群。
こちらも1曲に絞るのが難しいのだが、YouTubeになぜかこのアルバムの楽曲があまりないので、この曲を。タイトルもすごい。
「変態テロリスト」
幻覚アレルギー「Dのススメ」
1996年には3rdアルバム「Dのススメ」をリリース。
本作品は元・ジキルのKENプロデュースということで期待していたが、反転された歌詞カードに象徴される、より内向的なサウンド。核となるハードコアな部分は変わらないまま、今までになかった打ち込みやシンセを積極的に取り入れている。
こちらも強いて言えばで1曲に絞って紹介。
「がんじがらめ」
次作が期待されたが、ビクターとの契約は3枚だったようで契約が終了し、インディーズで活動を開始したものの1997年、残念ながら活動停止となった。
活動が1992年から1996年ということで、いろんな音楽を聴いていた中でも特に好きだったのが幻覚アレルギーだった。
ビジュアル系というイメージが邪魔だった?
デビューした1994年当時、いわゆるお化粧系のバンドで世間一般に認知されていたのは、XとBUCK-TICK、BY-SEXUALくらいだった。
1994年は、ルナシーが「ROSIER」で一般層に知れ渡ったタイミングである。それまでも人気はあったけど世間一般的にはあまり知られてなかった。
ちなみにラルクや黒夢、GLAYがデビューしたのも1994年だがが、世間一般にまで浸透するのはその後のこと。
これはリアルタイムで観ていた視点であり、コアなファンじゃなくあくまで「世間一般」の認知度である。
デランジェもかまいたちもジャスティナスティも、一般層には知れ渡っていない。
リスナーの耳も多様化した今の時代とは違い、またインターネットも無い時代に、メジャーというフィールドでこういう曲を展開していたというのは、今更ながらかなりすごいことだ。
だからこそ活動の範囲が「ヴィジュアル系」の括りだったのが、今となって思えば「可能性を狭めていたのでは?」と思ってしまう。元かまいたちでフリーウィルからリリースなので当然だが、世間のイメージというのは意外と影響が大きかったりする。
ちなみに幻覚アレルギー結成後、しいもんきい(京都のバンド)のライブにゲストで登場して、マッドカプセルマーケッツのナンバーを演奏したのが最初のステージとなる。幻覚の初期は特に、当時人気が出始めていたMADの影響を受けていることも聴けばわかるだろう。ベースの歪ませ方なんかは特にその影響を感じる。
初期のパンク色からだんだんハードコアやノイズ、デジタルを導入して行くあたりもMADとシンクロするように思うけど、V系的なイメージを払拭して海外展開とかを画策しても面白かったのではと思ってしまう。
実際に体感した、ライブの臨場感
私が幻覚アレルギーを一度だけ見に行ったのが、結果的に幻覚アレルギー最後の全国ツアーだった。アルバム「Dのススメ」のツアー「BOLLOCKS TO EVERYONE TOUR」で、調べてみると1996年3月12日の岡山ペパーランドだった。
昼間に岡山駅前のタワーレコードでトークショー&サイン会も。今考えるとイヤイヤだったんだろうなと思いますが、その時サインしてもらったCDは今も手元にある。
そしてライブハウス「ペパーランド」へ。
ここは岡山の老舗ライブハウスで、せまくて張り紙と落書きだらけの「いかにも!」なライブハウス。こんな間近で観られるというのに衝撃を受けた。当時高校生の私からしたら近寄りがたい、大人の女性がたくさん居たのが印象に残っている。そこではデモテープ「NEVER MIND THE BOLLOCK」が配布された。
そして、そのツアーの新宿ロフト公演がビデオ作品「DANCE MACABRE SHOW」としてリリースされた。映像も悪くブートレグのような映像が雰囲気にマッチしている。YouTubeにあったので貼っておく。
1.INTRODUCTION
2.SPEEDアレルギー
3.水銀
4.COSMETIQUE RENAISSANCE
5.MERRY-GO-ROUND
6.NEVER MIND THE BOLLOCK
7.NOISE現象
こうして見るとベストな選曲で、演奏の荒々しさ、そしてライブハウスのいかがわしさを楽しめる。
フォロワーが出てくれば再評価されるはず
映像を見ても、活動休止してしまったのが惜しまれるバンドであることがよくわかる。サウンド面でのフォロワーが出てくれば再評価の機運も高まるかもしれない。
「V系」とは一線を画した魅力を持っているので、この記事によって一人でも多くの人にその魅力が伝わることを祈る。
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