誰に求められているかわからないけど、筋少「高木ブー伝説」の変遷を記事にまとめておく!
先に断っておくと、コアな筋少ファンからすると甘っちょろい「そんなの誰でも知ってる!」レベルの内容だとは思うけど、高木ブー問題を知らない人向けに書いているので念のため。
というのも筋肉少女帯は、復活後も精力的に活動している。なので復活後にファンになった新しい世代もいると思うが、「高木ブー伝説」という、ギャグとしか思えないタイトルが代表曲の一つと言われており、不思議に思うはず。
いやしかし!
昔だったら、「筋少って高木ブーでしょ?」くらいの言われ方だったこともあったのだ。
というのも、先日ネットで、大槻ケンヂのこんなインタビューを見つけた。
大槻ケンヂ、「新・筋肉少女帯」結成計画を激白!
この中で「高木ブー問題」について本人が振り返っている。
昔話ではあるけど、今ではなかなかあり得ない話だよなあ〜と思いつつ、このインタービューを元にyoutubeの音源と合わせて紹介したい。
ナゴムレコードの「高木ブー伝説」
80年代のインディーズブーム。
そのブーム主流の一つであった「ナゴムレコード」。
そこから1987年7月にリリースされたシングルレコードがこちら。
ナゴムレコードの品番・NG-042 筋肉少女帯「高木ブー伝説」
先ほどのオーケンインタビューより抜粋。
当時はカッコイイ恋愛ソングが流行ってたから、「オレは逆にカッコ悪い恋愛ソングを作ってやる!」と思って。
“恋に悩むけど、何もできない無力な男”を表現する言葉を悩んだ結果、高木さんにたどりついたんです。
「何もできない男、何もできない男……高木ブーだ!!」と(苦笑)。
コミックソングのように見えて、歌詞を読むとそういう内容なのはファンなら知っているはず、だけどまあ、これを勝手にやってたんだからすごい。
アマチュアバンドのこととは言え、これがブームという波に乗り、テレビ番組「冗談画報」などに出て演奏していたのだから、そりゃマズいだろう。
前述のオーケンインタビューでは、この時点では「何も言われなかった」とあるが、実際はドリフの関係者を名乗る所から苦情が寄せられたという事で、高木ブー伝説は自主回収の目に会ったと言われている。
(その電話はイタズラだったことが後に判明した)
この件、オーケンがピエール瀧(当時・人生)と遊んでるときにその話(クレームが入った件)の連絡が入って「やばいよ〜」みたいな話をした、といった内容のエッセイを読んだ記憶がある(細かいディティールは忘れた)。
※ちなみに当時のナゴム雑誌広告。
こういう昭和の雰囲気いいなあ〜。
今こんなのが雑誌に載ってたら、周りに書いているレコード全部買いたい(笑)
「高木ブー伝説」よりも問題な曲
ちなみに、「高木ブー伝説」の前に(1987年3月)ナゴムレコードからリリースしているミニアルバム 「ノゾミ・カナエ・タマエ」(品番・NG-036)。
ここに収録されている「ドリフター」という曲。
タイトルの通りドリフがモチーフなのだが、こっちの方がよっぽど問題がある。
この曲については、以降のナゴム音源再発時にも一切復刻されていない。
・・・のだが、このミニアルバムは、「遠足で友達が居なくなったけど探すフリだけする」という「最期の遠足」や、歌詞の内容を説明することも憚られる「外道節」なんかも収録されているのでそっちの方が歌詞はすごい、ということだけ補足しておく。
筋肉少女帯メジャーデビュー作品にて
筋少はその後人気となり、TOYSFACTORYよりメジャーデビューを果たす。
(なのでミスチルの先輩!。オーケンもたびたびネタにしている)
その際、デビューアルバムの「仏陀L」というアルバムに、人気の「高木ブー伝説」を収録しようということになる。
前述のオーケンインタビューによると…
会社の人も「(許可はとらなくて)大丈夫だよ~」なんて言ってたのに、ある日…、「ダメ!怒られた!!ホントにダメなヤツ!」と、青い顔で(笑)。
高木さん本人ではないんですが、“ちゃんとした大人”から注意されたそうです。
とのことで、実際にアルバムの1曲としてレコーディングまでされたのにお蔵入りとなったのだが、この音源が(問題が解決した後に)ベストアルバムに「高木ブー大伝説」というタイトルで収録された。
デビュー当時のメンツなので、また今とは違ったドラムとピアノ中心の迫力あるトラックとなっており、カッコいい。
わかる人にはわかるが、イントロ部分は結果的に同アルバム「オレンジエビス」で断片的に使われている。
高木ブーが鼻血ブー
オーケンエッセイでもネタ的に書かれていたが、「高木ブー」問題が解決していなかったころ、ライブでは歌詞を変えて披露していたそうだ。
この動画はデビュー直後?と思われるが、6:10〜 「鼻血ブー」という曲が聴ける。
高木ブーがまずいから鼻血ブーにしている(笑)
お客さんもわかってて楽しんでいるようだ。
高木ブー伝説 解禁
そしてインタビューにもあるように、しばらく経って解禁となる。
しかも「高木ブーご本人による」許可。
それが後日、なんとご本人が許可をくださり「元祖 高木ブー伝説」としてリリースできることになったんです。
「若いヤツらが、頑張ってバカやってるんだから、許してあげようよ」と、本当に優しい言葉をくださって。
それが、1989年12月にシングルとしてリリースされた「元祖 高木ブー伝説」。
状況的には、三柴理が脱退し、橘高・本城が加入してからの頃。
筋少と言えば「高木ブー伝説」というイメージだが、デビュー後の一時期は封印状態にあったということだ。
しかし高木ブーさん、心が広い!
それがきっかけで、筋少のライブにも来ていただけるようになったんですよ。
いらっしゃったときに、僕が「次は高木ブー伝説です!」と言ったら、スーって立ち上がって四方にお辞儀をしてくださって(笑)。高木さんの、器の大きさに感動しましたね。
ナゴムレコード復刻版
ナゴムレコードが閉鎖するときに過去の音源が軒並みCD化された。
筋肉少女帯の音源も「ナゴム全曲集」という形でリリースされたのだが、「高木ブー伝説」「ドリフター」については収録されていなかった。
リリースが1990年なので「元祖」がリリースされた後だったのだが、まあいろいろあるんだろう。
(ケラ氏とオーケンが一時期疎遠になってたのって、この高木ブー問題があるんだろうなーと勝手に思っているけど、わからない。まあ今は共演したりしているので嬉しいものだ)
それが2006年に、ナゴム復刻の一環として筋肉少女帯「ナゴムコレクション」に「高木ブー伝説」が収録された。
これが初CD化。
ただし残念ながら(当然ではあるが)、「ドリフター」は未だ復刻されていない。
ちなみにこの「ナゴムコレクション」は、ナゴムからリリースされた「ドリフター」以外の音源と、昔のデモテープ音源などが網羅されている。特にこの初期のオドロオドロしい猟奇的な歌詞は、聴き応えがあるだろう。
そして初期衝動爆発ながらも、三柴理のピアノが当時から群を抜いて凄かったこともわかる。
興味のある方はどうぞ。
次回は、三柴理の筋少でのプレイにスポットを当てたい!
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