AUTO-MODのアルバム「REQUIEM」には音源が2種類存在する(オリジナル盤・無修正版)

今回は、オートモッドの最初のアルバム「レクイエム」について紹介します。

というのも、このアルバムは音源が2種類あるということがあまり知られていない、というかオートモッド自体がマイナーなバンドではあるのですが。

オートモッドというと「布袋が昔居たバンド」というのが一番世間的には通りがいいのですが、そういった意味も踏まえると「布袋ファンになった人が、過去の作品を遡って聴いていく時に必ず一度は手にするであろう作品」でもあります。

そして今は、ヴォーカルのGENET(ジュネ)がなんとグルメブロガーとして結構人気というのが意外過ぎたりします。

フェティッシュダディーのゴス日記

そんなオートモッドのファーストアルバムである「レクイエム」についてですが、アルバムのレビューから一部引用して紹介します。

1980年、ジュネがイギリスから帰国後、当時のニューウェイヴ・シーン、とくにバウハウスに触発され結成したバンドがオート・モッド。演劇パフォーマンスを取り入れたライヴを得意とした。82年、デビューしたてのBOOWYの布袋寅泰と意気投合、ジュネ、布袋、同じくBOOWYの高橋マコト、(後にパーソンズとなる)渡辺貢でスタート、このメンバーで83年5月新宿ロフトでのライヴの模様を収めたのが本作。ジャケット画は丸尾末広。初回2000枚限定発売、すぐに完売となった幻のアルバム。

ちなみにBOOWY「INSTANT LOVE」が1983年9月のリリースなので、その4ヶ月前のライブ音源ということでいくと、布袋のライブ音源の中では最も古いものです。

ギター的には、まさに「テレキャスにオーバードライブとコーラスをかけたギラギラした音」。そして当時から独特のカッティングは既に完成していますから、布袋の資料としても参考になります。

※布袋が参加しているのは今作と、次作「デストピア」のみ。

そんな名盤「レクイエム」を、リリースごとの体裁を含め追っていくことで、音源の違いを紹介していきます。

1983年 テレグラフ TG-017

オリジナル盤は、Telegraph Records から1983年にリリースされたLPです。商品番号はTG-017。

A1 乾いた夜
A2 Friend
A3 破壊へ
A4 Identical Nightmare
A5 戦場
B1 Feature Sex
B2 バンピレラ
B3 異国の幻想
B4 レクイエム

レコードなのでA面B面になっています。この作品の特徴としては、単純なライブ収録のアルバムではないということ。ライブ音源に、効果音やコーラス、追加でヴォーカルや叫び声等を加えることで、サウンドコラージュ的な試みを行っています。
(ライブ盤でミス演奏部分を差し替えているのは当たり前のことですが、今作はそれとは考え方が全く違う)

一曲だけ貼ります。
代表曲「レクイエム」。


ヴォーカルのバックに聴こえる、エフェクトのかかったコーラス。またラスト部分の叫びなどは後から付け加えた部分です。

1988年 ヴェクセルバルグ盤 WCD-5

オートモッドが解散した後も、この「レクイエム」は再発されておらず、異常なプレミアがついていたそうです。BOOWYが絶頂期で解散したのが1988年なので、この「レクイエム」にプレミアがつくのもわかりますね。

そんな中、ジュネによるレーベル「WECHSELBARG」からリイシューされました。初CD化です。

内容としては、レコードをそのままCD化したものです。

1991年 ヴェクセルバルグ盤 WCD-12

1991年春に、オートモッドのアルバム5作品(レクイエム、デストピア、イースタニア、バイブル、セレモニー)がまとめて、ヴェクセルバルグより再発されました。

豪華なBOX仕様でブックレット付き、各盤にボーナストラック収録というものです。

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ヤフオクより画像引用

そんな中「レクイエム」については…

・音を重ねていない、元々のライブ音源で収録
・同日のライブテイクより、ボーナストラック3曲を追加(メッシーナの悲劇、第三の敵、ダンシンリズム)

という内容。
ここではじめて、オリジナル盤とは異なる音源が出てくるわけです。音を重ねていないので、よりストレートにライブの音が楽しめるものとなっています。

ボーナストラック追加に伴い、曲順は下記の通りに。

1.Messina
2.Feature Sex
3.Friend
4.破壊へ
5.Identical Nightmare
6.バンピレラ
7.乾いた夜
8.異国の幻想
9.戦場
10.Requiem
11.第三の敵
12.Dancin’ Rhythm

メッシーナの悲劇」は解散ライブを収めた「セレモニー」にも入っていますが、元々は初期の曲。さらに「第3の敵」「ダンシンリズム」は布袋加入前の楽曲。これらが「レクイエム」のメンツで聴けるわけです。

その後再発されたものはオリジナル盤の音源です。なので、この「重ねていない音源」はそれ以降リリースされていませんので、貴重な作品です。もちろんボーナストラックもこの盤のみ。

そして!
この再発された5枚のCDについている応募券で申込みできたキャンペーン。この当選者プレゼントとして非売品3曲入りCDが存在します。

この内容が何と、「レクイエム」のボツテイクである「LEGACY」と「SILLY GIRL」。そして解散ライブの「EESTANIA」

「レガシー」が収録されている次作「デストピア」はギターとピアノと打ち込み中心の音作りなので、バンド版のテイクは貴重。布袋のギターミスもハッキリ入っています。
そして「シリーガール」については完全未発表曲ですので貴重です。

1995年 アポロン APCA-30

オリジナル盤音源にて、メジャーレーベルであるアポロンから1995年に「デストピア」と共に復刻再発されています。歌詞カードなどもオリジナル盤のものを再現しています(なので文字が小さくて見難いですが)。

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ヤフオクより画像引用

ちなみに、なぜアポロンからリリースされたのか?
それは、このころにオートモッドのトリビュート盤がリリースされたからです。

覚えている方はいるでしょうか?作品名は「TRIBUTE TO AUTO-MOD FLOWER IN THE DARK」です。

SUGIZO(LUNA SEA)、清春・人時(黒夢)、室姫深(DIE IN CRIES)、福井祥史(STRAWBERRY FIELDS)、EURO(SPEED-iD)、KIYOSHI(MEDIA YOUTH)など、当時としては豪華メンバーだったので結構話題になりました。
(他にも参加メンバーはいますが、私が惹かれた人たちのみ)

そして、トリビュート盤にしては珍しく、ジュネ自身も参加しています。

清春ヴォーカルの「デストピア」なんて、オリジナルよりもカッコいいですから…。

こうした「オートモッド再評価」の動きに合わせてアポロンからリイシューされました。

2010年 SUPER FUJI DISCS FJSP-114

そんなアポロン盤も長らく廃盤だった今作が、2010年に再発。こちらはオリジナル盤の音源。

そして何と現在、iTunesStoreでもダウンロードできます。
便利な時代ですね。
下記をクリック

1991年版のみ音源が異なるので貴重

というわけでざっと見てきましたが、音を後から追加したものがオリジナル盤であり、基本的なリイシュー時にはそちらが使われています。

そして、後から追加した音がないもの(ライブ通りのもの)は、1991年のヴェクセルバルグ盤のみで使用ということになります。

オリジナル盤しか耳にしたことの無い方が多いと思うので、91年盤をヤフオク等でゲットするのも良いでしょう(高くないですし)。聴き比べることで、どこを重ねたのか等もわかります。

というわけで、AUTO-MOD「レクイエム」の音源2種類の比較でした。

2016年9月 追記
このレクイエムのライブレコーディングを行った新宿ロフトライブのセットリストが載っていましたので転載します。

【SET LIST】
メッシーナの悲劇 ★
レガシー ※
シリー・ガール ※
フューチャー・セックス ☆★
フレンド ☆★
破壊へ ☆★
アイデンティカル・ナイトメア ☆★
バンピレラ ☆★
Johnny Was Killed
遠い声(サビのみ)
乾いた夜 ☆★
異国の幻想 ☆★
戦場 ☆★
レクイエム ☆★

encore
ラブ・ジェネレーション
第三の敵 ★
ダンシン・リズム ★
ラスト・パンク・ヒーロー

☆…83年オリジナル盤LP『レクイエム』(テレグラフ)、88年再発盤CD『レクイエム』(ヴェクセルバルク)、95年再々々発盤『レクイエム』(アポロン)収録

★…91年再々発盤CD『レクイエム』(ヴェクセルバルク)収録

※…91年非売品CD(ヴェクセルバルク)収録

[AUTO-MOD]”滅びゆく時代へのレクイエム”LIVE@新宿LOFT

ラブジェネレーションとラストパンクヒーロー(いずれも布袋加入前のシングル曲)を演っているようです。これは聴きたい!完全版でも出してくれませんかね…。

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