【レビュー】KEN ISHII「JELLY TONES」近未来都市の新たな幕開けを想像させる超絶名盤

「日本におけるテクノ・マエストロは?」という、散々語り尽くされて今更恥ずかしいレベルの問いかけを今敢えてするならば、ほとんどの人から出てくる名前は石野卓球かケン・イシイだろう。
そんなケンイシイ大先生の、これまたあまりに有名な一枚。こうして私なんかがレベルでもない大名盤なのだが、私がケンイシイで最もよく聴いた一枚なので取り上げる。

聴いた時の第一印象は「何でこれを手に取らなかったんだろう?だった。AKIRAの監督がビデオを手掛けた、とかそういったコマーシャルな話題が、無意識に遠ざけていたのかもしれない。もちろん「Extra」は何かで耳にしたことはあったのだけど。

この、新しい時代の幕開けのようなワクワク感。

まさにこの音楽の向こうで創造される近未来の雰囲気を、山奥の片田舎から感じ取ろうとしていたのだった‼︎

そう言えば思い出した。その前に多分中古で手に入れた「Stretch」のマキシシングル(という扱いだったかな、リミックスも入ってた)を先に聴いて、その延長でこのアルバムを手に取って一曲目の「Extra」を大音量で聴いてヤラれたのだ。テクノ=TB-303のミョンミョンアシッドサウンドと刷り込まれていた私は!それだけじゃないんだという勉強にもなったし。

心地よい4つ打ちのビートに身を委ねて、「東京ではこんな曲がかかってるのか」と田舎の実家で思いに耽っていた。さっきから田舎、田舎と連呼しているけど、今のようにインターネットもなかった90年代は、都会と田舎の情報格差、環境格差は果てしないものがあり、クラブやライブハウス、レコードショップといった「現場」が無いので雑誌とラジオくらいしか情報源が無かったのだ。

そんな状況でこんな近未来トラックを聴いた日には‼︎個人的にはそんなノスタルジーを感じずにはいられない作品だけど、できればCDを手に取ってイヤホンで爆音で聴いて欲しい作品。

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