【レビュー】μ-ZIQ「Lunatic Harness」ダーティーに歪んだ無機質なリズムと叙情的なメロディー

ビョークのシングルでμ-ZIQがリミックスを手掛けているのっていいなー、と、リリース当時思った。通好みな新進気鋭のクリエイターを起用することで音楽的な幅の広さを見せつけるというのは今も昔もあるけど、特にビョークという存在は面白い。

1997年、Björk「Hunter」のμ-ZIQ remix。

確か「ALL IS FULL OF LOVE」もリミックスしてたはずだけど、YouTubeで見当たらないし手元にも音がないのが残念。

 

で、この「Hunter」と同じ1997年にμ-ZIQがリリースしたのがこちらのアルバム。この作品と「ln Pine Effect」どちらを取り上げようか迷ったけど、ビョークのリミックスと同じ年のリリースということで「Lunatic Harness」を取り上げる。

前作「ln Pine Effect」でサンプラーを初めて導入して〜というのを聞いたことがあるけど(真偽は不明だがその前の作風から明らかに変わっている)、その前作よりさらに増して好き放題やってる印象!μZIQことマイクパラディナスならではの、ダーティーに歪んだ無機質で小刻みなリズムと叙情的なメロディーの組み合わせが爆発している。

名曲としても知られる「Hasty Boom Alert」。このアルバム随一の名作。

上物のシンセだけ聴いたら極上のBGMなのだが、そこにドラムンベースを過剰に押し進めて小刻みに音と歪み具合を配列したリズム音が加わることで、右から左に聴き流せないフックの効いた楽曲になっている。「Secret Stair Pt.1」「Catkin and Teasel」あたりもそう。

ポストエイフェックスツインやスクエアプッシャーというイメージが強いかもしれないけど、このあたりの作品を聴くと全く異なる音を出している印象。

そんな高い機材を使っているようには感じないけど(失礼!)、ここまで宇宙的な奥深さと広がりを感じさせてくれるのは、マイク・パラディナスのセンスの賜物なのだろうな。

しかし、なぜこの名盤がAppleMusicに並んでいないのか理解できない‼︎ 

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