メール便廃止の理由は信書問題だけではない?裏に隠れたもう一つの大きな理由

ビックリしましたね!
ヤマト運輸のメール便がサービス終了というニュース!
私はニュースサイトで知りました。クライアントとの商談でも雑談に出ましたが、どうやらヤマトにも結構問い合わせが来ているようです。

当ブログではWEB界隈のビジネスについて記事にする事が多いのですが、ネットオークション等の商品発送ではメール便はおなじみとなっておりますので、ネットオークションや書籍販売といった部分で影響が出ると思われます。

私、以前仕事でメール便を使ったりしていたこともありますのでその頃に聞いた話も含め、ヤマトのメール便についてまとめてみたいと思います。

ヤマト運輸の発表内容(信書について)

まず、ヤマト運輸が公式に発表したプレスリリースを見てみましょう。非常にわかりやすい文章でありつつ、郵便を管轄する総務省への恨み節(笑)が見て取れます。ちょっと長いですが引用します(下線は私が引いたものです)。

クロネコメール便 廃止の理由
2003年、総務省より「信書に該当する文書に関する指針」が告示されましたが、2014年3月時点でこの指針を認知している方は、当社実施のアンケートで全体の23%にとどまっています。そもそも、同一文書でありながら輸送の段階で「信書」の場合と「非信書」の場合があるなど、「信書」の定義は極めて曖昧であり、特に個人向けの書類については、総務省の窓口に問い合わせても「信書か否か」即答いただけないケースが多発しています。

このように、「信書」の定義がお客さまに分かりにくいにも関わらず、信書をメール便で送ると、荷物を預かった運送事業者だけでなく、送ったお客さままでもが罰せられることが法律に定められています。2009年7月以降、当社のクロネコメール便を利用してお客さまが信書にあたる文書を送り、郵便法違反容疑で書類送検、もしくは警察から事情聴取されたケースは計8件にのぼりました。

当社はこうした事態を重く受け止め、お客さまがクロネコメール便で信書に該当する文書を送り、罰せられてしまうことがないよう、荷受けを厳格化し、注意喚起をはかるとともに、2013年12月に、総務省 情報通信審議会 郵政政策部会において、内容物ではなく、誰もが見た目で判断できる「『外形基準』の導入による信書規制の改革」を提案し、信書を送ってしまっても、送ったお客さまではなく受け付けた運送事業者のみが罪に問われる基準にすべきであると訴えてきました。しかしながら、結局、当社の主張は受け入れられず、依然お客さまのリスクをふせぐことができない状態となっております。

以上の経緯を踏まえ、法違反の認識がないお客さまが容疑者になるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するものであり、このままの状況では、お客さまにとっての『安全で安心なサービスの利用環境』と『利便性』を当社の努力だけで持続的に両立することは困難であると判断し、クロネコメール便のサービスを廃止する決断に至りました。

というわけで、平たく言うと「信書送っちゃ行けないルールだけど、信書にあたるかどうか不確かな物を総務省に聞いても回答してもらえないし、利用者もよくわかってないし、うちらも利用者も犯罪者になってしまうといけないのでメール便ヤメます!」ということです。

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信書とは何か?なぜメール便で送ってはいけないのか?

「信書」と言われてもピンとこないと思われますので、総務省WEBサイトから引用します。

「信書」とは、
「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と郵便法及び信書便法に規定されています。
「特定の受取人」とは、
差出人がその意思又は事実の通知を受ける者として特に定めた者です。
「意思を表示し、又は事実を通知する」とは、
差出人の考えや思いを表現し、又は現実に起こりもしくは存在する事柄等の事実を伝えることです。
「文書」とは、
文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のことです(電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しません。)。

堅苦しい言い方でわかりにくいかもしれません。
簡単に言うと「手紙」ですかね。
手紙自体はもちろんだめですが、特定個人に向けて送った固有の物。

・履歴書や納品書、見積書は「信書」
・名刺やパスポートは「信書ではない」
・複数人に同じ物を同時に送るダイレクトメールは「信書ではない」
・しかし個別にメッセージが入っていたら「信書」

非常に曖昧です。曖昧な場合に問い合わせをしても明確な回答が得られなかったり、聞くたびに回答が違ったりするということも耳にしますね。

信書と信書以外に関する、取扱上の違い

郵便だの信書だのややこしいですね。
こう考えるとわかりやすいと思います。

信書=手紙。
手紙は郵便物を入れられるもので、総務省管轄。
手紙を配達することができるのは郵便事業を営む者のみ。

信書以外は「貨物・荷物」。
貨物なので国土交通省管轄。ヤマト含む民間のメール便は全てここの分類。
郵便局のサービスでも、ゆうパックやゆうメールは貨物です。

なので、日本郵便は「信書」サービスと「貨物」サービスをどちらも生業としているわけです。で、日本で「信書」を送ることを許可されているのは日本郵便のみ。その他の会社はあくまで「貨物運送」なのです。

日本郵便以外の企業の、信書便への参入について

郵政民営化となり郵便局は日本郵便となったが、民営化して競争原理が働くはずが実際は他社の参入が出来ない状況とのこと。もちろん随意契約ではなく手を挙げる権利はあるが、下記のような条件があるので現実的ではない模様です。

ポストを10万個設置する必要があるというのをよく聞きますが、ただ数があればいいというわけではなく、下記のように「過疎地ほどたくさん」ポストが必要で、回収人件費も見越すと割に合わないはず。

市町村等ごとに以下に掲げる区分に応じて計算した数以上の信書便差出箱を各市町村等内に満遍なく設置すること。
政令指定都市及び東京都の特別区 人口×0.0005
人口が10万人以上の市 人口×0.0006
人口が2万5千人以上10万人未満の市町村 人口×0.0008
人口が2万5千人未満の市町村 人口×0.0012
過疎地の市町村 人口×0.0019

このあたりの詳細は総務省サイト参照。

民営化と言いつつ、結局は日本郵便による独占なんですね。
そこにずっと噛み付いていたのがヤマト運輸です。メール便サービスにより日本郵便の荷物をだいぶ引っ張って来たようですが・・・

ヤマトがメール便を終了した真の理由は!?

最後に。
ここまで信書についていろんな角度で説明してきましたが、そもそもメール便サービスの終了は「信書」が原因なのか?というところについて考えてみましょう。

メール便は儲からない

まず大前提。メール便の規格を考えてみましょう。
郵便では「定形外」扱いとなるA4サイズで、暑さが1cm以内であれば1通80円。これは郵便と比べると破格ですよね。しかもこれはあくまで定価であり、企業向け大口割引ではもっと安い単価で契約しています。ヤマト運輸の支店にもよるようですが、地域によっては50円代のところもあるようです。

しかし、考えてみて下さい。
1通を60円だの70円だので配達して利益があるのか?
ヤマトのメール便を配っているのがいわゆる「クロネコメイト」と呼ばれるパートさん。場合によっては宅急便と一緒に配る事もあるようですが、薄利多売にも程があるというものです。

厄介なのは何もわかってない個人顧客

上記のような「そんなに儲からない」サービスなのですが、利用者にとって安く使う事が出来るのも、宅急便とは異なりポストイン(受取印不要でポストに入れるだけ)で、配達まで3・4日かかるからという理由があるからです。

そんなメール便のトラブルのほとんどが、個人顧客からのもの。個人が出したメール便が届かないといった類のものです。もともとメール便自体が運賃分の補償まででありそれ以上の補償が出来かねるものなのですが、そんなことを理解しない個人顧客というのは、ヤマトにとっては足枷でしかありません。

メール便に代わる新サービス

従来のメール便に近いものとして、法人顧客限定で「クロネコDM便」を開始。また商品発送等用に使える「小さな荷物」の宅急便のようなサービス(これは個人も差し出し可能)を開始するそうです。

これを見ればわかりますね。
「個人からのメール便受付廃止」とは謳えないから、一旦メール便を廃止して法人顧客向けに別のサービスとして開始する」ということのようです。信書問題も含め、個人顧客はハッキリいって「厄介」なはずですから、手間ばかりかかって儲からない「個人からのメール便受付」をヤメたということでしょう。

もちろん企業としてはリスキーなものは排除していくのは当然です。
ネットによるCtoC(個人間売買)が活発になってきたこともあり、CDや書籍等の商品をメール便で送るというパターンも増えてきています。これを従来のメール便が担ってしまうと「届かない」というトラブルばかりが増えることでしょう。

そこを一旦サービス終了し、小さい荷物用の宅急便サービスを新たに開始することで、商品をポストインで済ませることを防ぐ。ヤマトとしては理想的な形に近づいたようです。

「メール便廃止」というニュースは、冒頭にも書いたようにネットビジネスに対しても大きな影響がありそうです。とりあえずは3月に発表されるという「小さな荷物」宅急便の詳細発表を待つしかないようです。

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